ハル移動平均とは?意味・読み方を美容師トレーダーが解説【FX用語集】
移動平均線の「遅れる」という宿命に、正面から喧嘩を売った男がいる。
アラン・ハル。
意味・読み方
読み方:ハルいどうへいきん
簡単に言うと:移動平均線の遅延を大幅に減らしながら、ノイズも除去しようとして設計された移動平均線のこと。
もう少し詳しく:ハル移動平均(Hull Moving Average / HMA)は、オーストラリアのトレーダー、アラン・ハルが2005年に開発した移動平均線。
加重移動平均(WMA)を使った2段階の計算によって、従来のMAよりも価格変動への追従を早くしつつ、滑らかさも保つという設計になっている。
「速くて滑らか」という相矛盾する目標に挑んだインジケーターだ。
別名・類似語・略称
| 表現 | 補足 |
|---|---|
| Hull MA | 英語での呼び方。チャートツールでの表記 |
| HMA | 略称 |
| ハルMA | 日本語話者が略すことが多い呼び方 |
計算式
Hull MAの計算は3ステップで行われる。
| ステップ | 計算式 |
|---|---|
| ① | WMA(n/2) を計算する |
| ② | WMA(n) を計算する |
| ③ | HMA = WMA(√n, 2×WMA(n/2) − WMA(n)) |
より正確に書くと:
Raw HMA = 2 × WMA(n/2) − WMA(n)
HMA = WMA(√n, Raw HMA)
期間nに対して、n/2の短期WMAと長期WMAの差を取り、さらにそれをWMAで平滑化する。
アラン・ハルが「なぜこう設計したか」
「2×短期WMA − 長期WMA」という発想
普通に短期MAを使えばシグナルは早いが、ノイズも多い。
長期MAを使えば滑らかだが遅れる。
ハルが目をつけたのは「短期と長期の差」だ。
この差分(2×短期 − 長期)は、価格の「現在の勢い」を含む合成値になる。
短期MAが長期MAより上にあれば、その差はプラスに傾く。
この「勢いを含んだ値」を最後にWMAで平滑化することで、ノイズを落としつつも反応を早める——という構造だ。
単純に「短い期間のMAを使えばいい」という発想より一段深い。
ハルは「差分」という概念を移動平均の計算に持ち込んだ。
最後の「√n期間のWMA」の意味
最後のステップで√nという「中途半端な」期間を使うのが面白い。
nが16なら√16=4、nが25なら√25=5。
これは「平滑化に使う期間が小さすぎると粗くなり、大きすぎると遅れる」という問題に対して、ハルが経験的に導いた「ちょうどいいスケール」だと考えられている。
なぜ√なのか——正確な根拠は公開されていないが、「nに対してスケールが適切に調整される」という幾何学的な直感ではないかと思う。
使い方
| 用途 | 説明 |
|---|---|
| トレンド方向の確認 | HMAが上向きなら上昇トレンド、下向きなら下降トレンド |
| エントリータイミング | HMAの向きが変わったときを転換シグナルとして使う |
| 他のMAとの比較 | SMAやEMAより速い反応を求めるときにHMAを選ぶ |
よくある誤解・勘違い
「Hull MAは遅延ゼロ」だと思って飛びついた。
「遅延を大幅削減」とどこかで読んで「じゃあほぼリアルタイムじゃないか」と思った。
実際は違う。
普通のMAよりは速い。
でも完全な遅延ゼロではない。
過去のデータを使って計算している以上、どんなMAにも遅延はある。
「速い」のと「遅延ゼロ」は全然違う。
Hull MAはその中で「なるべく速く、なるべく滑らか」という工夫をしているインジケーターだ。
万能ではなく、レンジ相場ではダマシが増える弱点もある。
関連用語
- 移動平均線(ma)
- 加重移動平均(wma)
- ノイズ(noise)


